ファクトベースとは何?意味と活用法を3つのデータから学ぶ

ロジカルシンキングやマーケティング、コンサルティングなどでファクトベースと言う言葉がよく使われます。

正しい結論にたどり着く、確度の高い仮説を立てるためにもファクトベースの思考が非常に重要となるのです。

この記事では、ファクトベースの意味、ファクトベースで考える際の注意点、ファクトベース思考の実例について説明していきます。

ファクトベースはどういう意味?

ファクトベースは、文字の通り事実(fact)を基(base)にして物事を考えていくことを言います。

また、このような考え方をファクトベース思考ということもあります。
つまりファクトベースで考えるということは「事実を基にして考える」という意味になるのです。

難しい課題に直面すると、バイアスをかけて事実を見てしまったり、主観に基づいて判断してしまったりすることがあります。

その場合には、一度バイアスを排除し、客観的に事実を見る必要があるのです。

ファクトベース・コンサルタントとグレイヘア・コンサルタント

ファクトベースは、コンサルティング業界でもよく使用されます。

ファクトベースで行うコンサルタントをファクトベース・コンサルタントと呼ぶ一方で、事実ではなく自身の経験によってコンサルティングを行う場合にはグレイヘア・コンサルタントと言います。

グレイヘア(gray hair)とは白髪のことで、ある分野での知識を蓄え他者に対してアドバイスできるレベルに達するのは白髪が混じる年齢であったことに由来します。

これは、事実を見ていないと言うわけではなく、あくまでも熟練者の経験や知識に基づいているということを意味します。

20代、30代ではグレイヘア・コンサルティングを行うのは難しいため、若いうちはファクトベースで考える習慣が重要となるのです。

ファクトベース思考で仮説を立てることが重要

どのような業界であっても、100%うまくいく方法というのはないでしょう。
そのため、やってみなければ正確な結果は分からない、というのが当たり前です。

しかし、やってみなければ分からないことに多くの予算や時間を割くのは賢明ではありません。
また、困難な課題に直面していると突破口が全く見えない状況に陥ることもあります。

そのような場合には、ファクトベースで物事を考えて、仮説を立てることが重要となるのです。

仮説を立てるには事実と論理が必要

この仮説を立てる場合には、事実(ファクト)と論理(ロジック)が必要になります。
実際には、どちらかを欠いていても仮説を立てることはできますが、よほどの熟練者でなければ、事実に基づかない仮説を信用することは難しいでしょう。

ここでいう論理とは、仮説を立てるための方程式、考え方の枠組みのことです。

しかし、方程式や枠組みだけではうまく機能しません。
ここで必要になるのが、方程式に当てはめる数値(事実)なのです。

ファクトベースを3つデータから考える

例えば、あなたが飲食店Aを経営しているとします。
その飲食店を出店しているエリアには、競合相手と言えるライバル店BとCがいます。

最近のAの売り上げを見て、経営はうまくいっていると判断したとします。

以下の3つの情報があった場合に、判断は正しいと言えるでしょうか?

  • 今月の売り上げが前の月の1.2倍になっている
  • 来客数が3カ月連続で増加している
  • 週末の午前中は満席になることが多い

まず、上の中で事実(数値)を整理しましょう。
事実は、売り上げが1.2倍になったこと、来客数が3カ月連続で増加していることです。

満席については、どのくらいのキャパシティーがあって、どの程度埋まっているかのデータを参照する必要があるでしょう。
飲食店では、満席状態が続くのは機会の損失にもなるため、席を増やすなどの対策が考えられますが、現場のスタッフの印象だけで判断してはいけません。

実際には、少人数でキャパシティーの大きい席が使用されているのかもしれません。

次に、経営が上手くいっていると判断したポイントが売り上げ、来客数の2点だとします。
この2つでは、本当に上手くいっているかを判断するのは難しいと言えます。
売り上げが伸びている、来客数が増加しているというのは事実であっても、経営の成功には直結しないためです。

例えば、売り上げ、来客数は前年度の同じ月と比較して変わらないならシーズンごとの変化である可能性が高いと言えます。
加えて、前の月と比較して1.2倍の売り上げになっていても、ライバル店Bが1.5倍、ライバル店Cが2倍に売り上げを伸ばしていたらどうでしょうか?

飲食店全体での売り上げ増の可能性が高く、その中でも伸び率が小さいなら経営は上手くいっていないと言えるかもしれません。
ですが、もともとの売り上げが小さいからこそ伸び率が大きかったのかもしれません。

このように、現象と事実をしっかりと整理しなければ正しい仮説を立てるのは難しいのです。

ファクトベース思考の注意点

ファクトベースで考える場合には、俯瞰してデータを見る必要があります。
力を入れた仕事であればあるほど、客観性を失い主観的にバイアスのかかった状態で事実を見てしまい、判断を誤る可能性が高くなります。

そのため、普段から事実を見ることを習慣化することが重要になります。

その他にも、ファクトベースにはいくつかの注意点があります。

元にしている事実(数値)は適切か

いくらファクトベースで考えても、そもそもの事実が間違っていれば意味がありません。
特に、データのソースが信用できない場合には、ファクトベース自体が成り立たないと言えます。

また、数値自体に誤りはなくても、関連性の薄いデータを参照してしまうケースもあります。
見るべきデータ異なれば、正しい仮説にたどり着くのは難しいでしょう。

ファクトベースで考えるのは時間がかかる

ファクトベースで考えるためには、適切なデータを十分に集め、分析する必要があります。
そのため、主観的に判断をしていくのに比べて、決断までに時間がかかります。

ファクトベース思考を習慣化するのは大切ですが、深く分析する必要のないことに時間をかけてしまうと本来のビジネスの目標から離れてしまうこともあります。

ファクトベースで考えることは目的ではない

ファクトベースは、目的を達成するために有効な仮説を立てたり、現象を正しく評価するためのものです。

しかし、いくらファクトベースで考えても結論がでないようなケースもあります。
そもそも数値化できないようなことはファクトベースに馴染みません。

例えば、自社の商品のユーザーが幸せかどうかをファクトベースで考えるのは難しいでしょう。
満足度やリピート率などの関連するデータを収集することはできますが、それらの値が高いからといって必ずしも幸せとは言えません。

抽象的な問題を直接的に解決してくれる魔法のような考え方ではないことに注意しましょう。

ファクトベースの意味のまとめ

ファクトベースとは「事実に基づく」と言う意味で、事実に基づいた論理的な思考のことをファクトベース思考と言います。

主観的に決断をしたほうが、スピーディですが、多くの経験や知識がなければ主観のみで正しい判断を下すことはできないでしょう。

そのため、経験が浅い段階でも正しく仮説を立てる、現状を分析する、結論を出すために効果的な思考法と言えます。

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