企業でも、フリーランスでも多くの顧客を獲得することは大切です。
そのため、多くの同業者の中から選ばれる企業、フリーランスであるかどうかが経営戦略上とても大切になるのです。
顧客から選ばれる企業になるための考え方として、「ファーストコールカンパニー」という言葉が注目を集めています。
ファーストコールカンパニーとは何?
ファーストコールカンパニーとは、顧客からはじめに声がかかるような企業のことを言います。
この考え方は、コンサルティング会社であるタナベ経営が提唱したものであり、企業だけでなく、個人のフリーランスにとっても非常に重要な考え方です。
タナベ経営は、ファーストコールカンパニーの経営者が登壇する「ファーストコールカンパニーフォーラム」を開催しており、イベントレポートを公式サイトから見ることもできます。
目次
ファーストコールカンパニーの例|Apple?Sony?
ファーストコールカンパニーと言える企業は、どのようなものがあるでしょうか?
例として、MP3プレイヤーについて考えてみましょう。
もし、MP3プレイヤーを新しく購入するのであれば多くの方が「AppleのiPod」の購入を検討するのではないでしょうか?
つまり、そのような場合にはAppleがファーストコールカンパニーとなります。
しかし、すべての人が真っ先にAppleを検討するかというとそうとは限らず、Sonyのウォークマンを考える人もいるはずです。
少し古い情報ですが、2010年の携帯オーディオのメーカー別シェア率を見ると、ほぼAppleとSonyの2社が大半を占めていることがわかります。
このことからもわかるように、ファーストコールカンパニーになれない場合には、市場でのシェア率を伸ばすことは非常に難しいのです。
ファーストコールカンパニーは人によって違う!
ファーストコールという言葉から、絶対的な1社が存在するような印象を受けるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
MP3プレイヤーの私の周りでの使用を考えてみると、iPodユーザーが多い一方で、音へのこだわりが強い人はSonyを選択している人が多い印象です。
つまり、一人一人どのようなニーズを持っているかによってファーストコールカンパニーが違ってくるのです。
ここで、人数が多いユーザー層にとってのファーストコールカンパニーになることができれば多くの顧客の獲得の可能性が高いと言えます。
ニッチなニーズのファーストコールカンパニーを狙う
ただ、多くのユーザーにとってのファーストコールカンパニーになることは簡単ではありませんし、短期間で実現できる目標ではないことが多いでしょう。
そこで1つの戦略としては、ユーザー数は減るもののより限定的なニーズを持ったユーザーへアプローチすることが考えられます。
つまり、ニッチ戦略をとるのです。
MP3プレイヤーであれば、「最高の音質を求めている人」、「ランニング中に音楽を聞きたい人」、「水中で音楽を聞きたい人」などにとってのファーストコールカンパニーを目指すのです。
多くの人に受け入れられるものは、ニッチなニーズを持った人を満足させることができないケースはよくあります。
あえてニッチな部分を狙い、そのユーザーからの圧倒的な支持を集めるのです。
競合が少なく価格競争になりにくいため、レッドオーションを避けてマーケティングをすることができるのもメリットになります。
ファーストコールカンパニーはフリーランスの戦略にも応用可能
ファーストコールカンパニーの考え方は、フリーランスであっても役に立ちます。
例えば、WEBライターとして、企業から執筆依頼を受けているとします。
企業が、「このテーマで記事を書くなら◯◯さんにお願いしたい」と思ってもらえれば、安定した受注につながります。
また、他の人ではなくあなたにお願いしたいというのは、代わりがいるような状況ではないため報酬も上がりやすくなります。
しかし、どのような顧客(クライアント企業)にとっての「ファーストコール」になるかも大切です。
例えば、特定のジャンル(「鉄道」、「盆栽」、「世界旅行」など)のファーストコールであれば、ニーズ自体はニッチであっても同業者は少ないため安定した報酬につながるでしょう。
一方で、「安くたくさん記事が欲しいから◯◯さん」と認識されてしまうと、単価を上げること自体が顧客のニーズとバッティングしてしまいます。
また、限られた時間の中で一人で仕事をこなすには作業量にも限界があります。
どのような顧客にとってのファーストコールカンパニーとなるかはとても重要であり、それは市場においてどのようなポジショニングをとるかと非常に似ています。
SWOT分析とポジショニングマップで立ち位置を考える
ニッチであればすぐにファーストコールカンパニーになれるわけではありません。
まずは、市場にどのようなニーズがあって、自分自身がどのような解決策を提示できるのかを考えましょう。
その際に便利なフレームワークが、SWOT分析とポジショニングマップです。
はじめに、SWOT分析によって自分の持つ価値を客観的に捉えます。
次に、ポジショニングマップを用いて、どのようなユーザーにとってのファーストコールカンパニーになり得るのかを検討していくと良いでしょう。