個人事業主と法人の違いを節税、手続きなどの5つのポイントから比較

企業に所属していれば、自分の好きなように仕事ができるとは限りません。
完全に自由に仕事をすることは実際には簡単ではありませんが、起業をするというのが1つの手段となります。

もし、自分で起業をしようと思えば、次の2つの方法があります。

  1. 個人事業主として仕事をする
  2. 法人を設立してビジネスを行う

どちらも自分自身が主体となってビジネスを行なっていくことになりますが、2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

個人事業主と法人の違いは何?そもそも法人とは何?

個人事業主としてビジネスを行うのと、法人を設立してビジネスを行うのには大きな違いがあります。

個人事業主のイメージはできても、法人とは何かを説明できますか?
2つの違いを見ていく前に、法人とは何かについて少し説明します。

法律において人は、自然人と法人の2種類がいます。

自然人はいわゆる「人」であり、様々な権利や義務を持っており、法人とは特定の生きている人間ではないものの法律上では自然人と同じように権利や義務を有する資格を持つもののことを指します。

だからこそ、企業という法人であっても、税金を納めたりする義務があるのです。

個人事業主と法人の5つの違い

個人事業主と法人を比較すると、大きくは次の5つの点で違いがあります。

  1. 節税効果
  2. 手続きの煩雑さ
  3. 事業の拡大の容易さ
  4. 社会的な信用
  5. 事業の継続

では、それぞれの違いについて見ていきましょう。

個人事業主の節税効果は法人よりも小さい?

事業を行っていく上で、税金の問題は避けては通れません。

すでに個人事業主として利益を得ている場合には、一定額以上の収入を超えた場合には、事業内容はそのままでも法人化するだけで節税効果が得られるケースもあります。

個人事業主でも、法人であっても利益が大きくなると税金も増えます。

個人事業主の場合には、年間所得の大きさに応じて6段階の税率が決まっています。

超過累進課税という税制度となり、1,800万円を超えた分については40%もの所得税がかかるのです。

一方で法人の場合には、2段階の税率で、最大でも25.5%の税額なので、税金のかかる所得額が大きいほど個人事業主の方が納める税金の額が増えてしまいます。

個人事業主の給与は経費にならない

また、節税の観点では必要な出費を経費として申告できるかどうかも重要になります。

例えば、個人事業主の場合には毎月の利益の中から自分自身の生活費などを捻出する必要があります。

個人事業主の場合には、この生活費、サラリーマンで言えば給与にあたる部分は経費にはならないのです。

一方で、法人の場合には、自分自身への報酬は経費として認められるので、この分の節税効果があります。

個人事業主は開業・廃業の手続きが簡単

2つ目の違いは、起業する、もしくは廃業する場合の手続きの煩雑さです。

この点は、圧倒的に個人事業主の方が簡単で、基本的には税務署などに届け出を提出するだけです。
ただし、飲食店など実際に業務を行うためにその他の許可や届け出必要なこともあります。

法人を設立する場合には、定款などの書類の準備と登記などの手続きが必要となります。
法律に詳しくないと自分自身で全てを行うのは難しいため、司法書士などに依頼することで書類の準備から進めてもらうケースもあります。

法人の方が社会的な信用度が高い

様々な手続きを経なければ法人の設立ができない分、社会的な信用は法人の方が個人事業主よりも高いと言えます。

社会的な信用が問題にならないような業種もありますが、仕事の大きさや業界によっては、個人事業主との仕事に前向きではない場合もあります。

一般的には、大きなお金が動く場合ほど、社会的な信用が重要となります。
また、従業員を雇用する場合も、社会的な信用度の高い法人の方が人材確保の点では有利になるケースが多いです。

個人事業主は事業の内容変更などがしやすい

法人は定款に沿ってビジネスを行う必要があるため、新たな分野へと手を広げるのには手続きが必要で簡単ではありません。

しかし、個人事業主の場合には個人事業主届けの内容を変更する必要がないため、新たな事業を追加したり、これまでの事業の内容を変更することが簡単です。

例えば、個人事業主としてデザイナーをしている場合、これまでのデザイナー業に加えて、デザインを教える仕事をしても事業内容に関する変更の届け出は不要ということです。

法人の場合は万が一の場合も事業の継続が可能

はじめに説明した通り、法人というのも法律上は人です。

しかし、自然人との大きな違いは、代表者が亡くなっても法人は生きた状態であるということです。

個人事業主であれば、代表が亡くなる、もしくは仕事をやめれば事業自体も無くなってしまいます。

法人の場合には、代表者とは関係なく法人を存続させることができるため、新たな代表者の元でビジネスの継続ができるのです。

個人事業主と法人|起業する場合の基準は?

個人事業主と法人のもっとも大きな差は節税効果でしょう。
そのため、個人事業主をしていて一定額以上の所得になった場合に法人化を検討する方も多いようです。

法人の設立は、様々な手続きが必要なのに加えて、それらの費用も少なからず必要となります。

つまり、いきなり法人を設立してビジネスを行うのはそれなりのリスクがある、ということです。

特に新たな分野で起業して会社を立ち上げるのはリスクが大きいため、まずは個人事業主としてビジネスを成長させていくのが現実的かもしれません。

どの程度の額から法人化のメリットがあるかは、ケースバイケースですが節税の面では年収500万円程度が最低限のラインとなるようです。

節税効果を狙うのであれば、税理士にどのくらいの節税効果が出るのかをシミュレーションを依頼すると良いでしょう。

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