ノマド(nomado)とは何?本来の意味と新しい働き方が示す未来とは?

ノマドって何?

ノマドとは、特定の決まった仕事場を持たずに、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど働く場所を自由に選ぶことができるような働き方のことを言います。このようなワークスタイルで仕事を行う人をノマドワーカーといい、アメリカなど欧米ではnomadic workerと言います。ラップトップやインターネット、クラウドサービスを利用することで場所による制約を受けない新しい働き方として日本でも注目を集めています。

ノマドの語源と本来の意味とは?

なぜこのような働き方をノマド、ノマドワークと言うかは語源を考えるとすぐにわかります。ノマドとは英語のnomad、フランス語ではnomadeを由来にもち、本来は遊牧民を指します。
遊牧民とは、特定の永住の地を持たずに、季節などによって場所から場所へと家畜とともに移りながら生活をする集団や民族のことです。

そのため、まるで遊牧民のように固定の職場を持たない働き方をする人々をノマドやノマドワーカーと呼びます。

ノマドワーカーとフリーランスは同じ?

ノマドワーカーと似た言葉にフリーランスがあります。
フリーランスとは、特定の企業などに所属せずに独立して、案件ごとに契約を結び報酬を得るような働き方を言います。
一般的にフリーランスとして働きやすい職業には、デザイナー、プログラマー、ライターなどがあります。

フリーランスであれば、特定の就労場所に制限されないのでノマドワーカーとして仕事をすることができます。
しかし、フリーランス=ノマドワーカーと言うわけでありません。フリーランスであっても、自宅を仕事場としているのであればノマドの定義からは外れるでしょう。

一方で、会社に所属している場合でも出社する必要がなく、原則として好きな場所での仕事が可能であるのならノマドワーカーと言えます。

ノマドとフリーアドレス

また、会社内で特定の席、机の割り当てがなく自由な場所で仕事をするスタイルをフリーアドレスと言います。席が固定ではないので、様々な部署や職種の同僚とコミュニケーションをとることができるというメリットがあります。また、営業職などの常に席を必要としていない社員が多くいる場合には、オフィスの規模を小さくすることができコスト削減にもつながります。

異なった部署、考えを持つ人とのコミュニケーションはクリエイティブ、IT業界に限らず非常に有益です。しかし、席が決まっていないことで各々が積極的にコミュニケーションをとる必要があったり、フリーアドレスと言いつつも席が半固定化されたりなど運用は簡単ではないが現状のようです。

ノマドワーカーのメリット・デメリット

場所に縛られないことが生む2つの余裕

都市部などの会社員の方は特に、毎朝の満員電車での通勤をストレスに感じている方が多いでしょう。毎日の通勤は、精神的な負担であるとともに、時間的な負担にもなります。
デザイナーやプログラマーなど、成果と報酬が結びつきやすい職種の場合には、時間の価値を大きく考える方も多いでしょう。
例えば、通勤時間のうち、電車移動に20分かかる場合でも、電車を待つ時間、自宅、会社の最寄駅からの時間を含めると毎日1時間程度は移動に費やしていることになります。

空いていて座ることができるのであれば、本を読んだり、メールをチェックしたりなども容易ですが、混んだ車内では少なからずストレスを感じるでしょう。
ノマドは、このような精神的なストレスを軽減し、時間をより有効に使うことができるワークスタイルをいうことができます。

ノマドは想像以上に制約が多い?

一方で、ノマドで仕事をする場合のデメリットもあります。
同じノマドワーカーでも、会社に所属する場合と、個人事業主として働く場合では異なりますが、今回はノマドスタイルで働く個人事業主が抱える問題について説明します。

1つ目は、個人に求められるスキルや知識が多い、ということです。
会社で勤務していれば、困ったことがあれば、上司や他の専門部署の同僚に助けや助言を求めることが容易です。
もちろん、メールやチャット、電話で連絡をとることが可能な場合も多いですが、気軽に質問、相談できる環境と言えない場合もあります。
そのため、ある程度は個人で仕事を進めることができるだけのスキルが求められることになります。

2つ目は、仕事と私生活のオンオフの切り替えが難しいことです。
どこでも仕事をすることができるというのはメリットであると同時に、オンとオフの境目が曖昧になるというデメリットでもあります。
これは、場所においても、時間においても言えることです。
会社で仕事をしていれば、基本的には会社にいる時間が仕事をする時間として区切ることができます。
残業をする場合でも、残業代が出るなどの保証があります。
ノマドワーカーとして仕事をするなら、自身でしっかりと生活のリズムを作る必要があります。

3つ目は、経費の問題です。
自宅で仕事する場合でも光熱費はかかりますし、カフェなどで仕事をする場合にもドリンク代などはかかります。
会社員であれば、会社が負担するはずの費用も、ノマドワーカーの場合には自身がお金を払わなければいけません。
経費として申請することもできますが、自身の収入の一部から支払っていることには変わりありません。
また、確定申告も自分で行わなければいけない、ということも覚えておきましょう。

ノマドワーカーに求められるスキルとは?

仕事をするにおいて、求められるスキルは会社や、自身のポジションによっても異なります。
そのため、一般論ですがノマドワーカーには次のようなスキルが求められると言われています。

  • 時間管理能力
  • 進捗管理能力
  • ITスキル
  • コミュニケーション能力
  • 専門スキル

ノマドワーカーとは、自身が制作スタッフでもあり、管理職でも、社長でもあります。
そのため、クライアントがいる場合には、自分で案件の進捗管理やスケジュール管理を行う重要性が高まります。
また、ネットを通してのやりとりが基本となるのであれば、最低限のITスキルは必須でしょう。
そして、大きな案件になればなるほど、セキュリティの問題は重要視されます。
想像以上にこのセキュリティの問題は重要であり、作業環境によっては仕事を受けることができない可能性もあります。
例えば、クライアントから提供された資料が部外秘であれば、気軽にカフェなどでは開くことは難しいでしょう。
そのため、ノマドといえども作業環境が限定されてしまう、という場合もあります。
加えて、仕事をとるのも、仕事を進めるのもコミュニケーション能力は必須です。
ノマドワーカーは人間関係のストレスが少ないと思っている方が多いかもしれませんが、会社の肩書きがないからこそコミュニケーション能力が求めれるケースも多くあります。

ノマドワーカーの仕事場

ノマドワーカーの仕事場には、次のような場所があります。

  • 自宅
  • カフェ
  • コワーキングスペース

カフェでマックを広げて仕事をしている方をよく見かけるかもしれませんが、カフェを仕事場として使うことには賛否が別れるようです。
混んでいる場合には退席する、長時間の利用は避けるなどの配慮が必要になります。
もしくは、ノマドカフェを利用するのも1つの方法です。
ノマドカフェとは、wi-fiや充電用の電源などが完備されており、ノマドワーカーが仕事をする場として使えるカフェのことです。
多くの場合は会員制になっており、通常のカフェのように他の利用者を気にする必要が少ないのがメリットです。
また、カフェによってはプロジェクターや会議室などのレンタルができる場合もあります。
カフェとしての機能を持ったコワーキングスペースということもできるでしょう。
カフェによってもルールや設備が異なるので、事前に確認しましょう。

ノマドワーカーとして有名な人物

ノマドワークを実践している人物としては、SNSを通じた情報発信や執筆活動など幅広い分野で活躍する安藤美冬さんや立花岳志さんが有名です。
ノマドワーカーに厳密な定義はないのかもしれませんが、お二人ともSNSやブログを通じて通常ではリーチできない数の人々とつながるとともに、1つの分野に止まらない活動範囲で活躍をするという点では共通しています。

ノマドが可能な職種

ノマドスタイルで働くことが絶対にできない職業というのは少ないかもしれません。
しかし、一般的にはプロジェクト単位、案件単位で働くことができる、成果物と報酬が結びつきやすい職業がノマドと相性が良い職業といえるでしょう。
例えば、次のような職業が挙げられます。

  • デザイナー
  • プログラマー
  • ライター
  • ブロガー
  • アフィリエイター
  • コンサルタント
  • カメラマン

ノマドは職業ではない?ノマドの未来とは?

ノマドワーカーとは、場所にとらわれない自由な働き方ですが、職業ではありません。
目新しい言葉が出ると、それに憧れて自身のライフスタイルに取り入れようとする動きと、新しいものに対する拒絶感からの批判的な動きがおきます。
「ノマド=素晴らしい働き方」と単純に捉えることは危険が多いと思います。
特に大学生や20代の若い社会人の方々は、表面的なメリットや流行りに流されないように情報を収集して、判断を下すことが重要になります。
しかし、場所の制約がなくなることで、自身の趣味やスキルアップに使う時間や、子育てや家族との時間をより多く持つことのできる可能性が広がるのは確かです。

ノマドという言葉がこれからも盛んに使われるかどうかについては、個人的には懐疑的な考えを持っています。
それは、現在活躍しているノマドワーカーの多くは、ノマドであることが重要なのではなく、ノマドによって得られるメリットが重要だからです。
つまり、ノマドとは目標や目的ではなく、手段であるということです。

遊牧民から考えるノマドの定義

なんとなくノマドに憧れているという場合には、ノマドワーカーになることが目的になっているかもしれません。
ノマドには厳密な定義はないかもしれませんが、1つには場所に制約がないことによる恩恵を受けているかどうか、が重要だと思います。

遊牧民がなぜ移動しながら生活をするかというと、家畜がその土地の牧草を全て食べてしまわないようにするためです。
遊牧民は家畜から肉や乳を得ることはできますが、穀類などは入手が難しいため農耕民族の定住地の近くを移動ルートとする場合が多いそうです。

ノマドワーカーも、様々な場所で仕事をすることでその土地や地域からインスパイアを受け、コワーキングスペースのワーカーとの新たなコラボレーションを生み出すことで社会に貢献していく必要があると考えます。

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