赤字が続かなければ倒産することはないと思っていませんか?
実は、利益が出ている黒字の状態でも倒産することはあるのです。
このような倒産を黒字倒産と言います。
倒産は法律用語ではないため、明確な言葉の定義はないものの、企業に対して使用するのが一般的です。
ですが、黒字倒産が起こる理由を知っておくと、企業の経営者だけでなく、個人事業主や個人で法人を運営している人もビジネス上のリスクを小さくすることができるのです。
この記事では、黒字倒産が起こる理由、黒字倒産を防ぐための方法について説明していきます。
黒字倒産とは何?
まずは、倒産とはどのようなものかを知っておきましょう。
倒産は、企業などが経済的に破綻し借金を返済できなくなり、企業としてのビジネスを継続することができなくなった状態のことを言います。
そのため、ただ経営が行き詰まった、赤字が続いているだけでは倒産とは言いません。
また、債権者への返済・弁済などをする手続きを倒産手続と言います。
倒産の手続きを法的に進めていく場合には、法的倒産処理手続と言い目的によって次の2つに分類されます。
- 清算型倒産手続き
- 再建型倒産手続き
黒字倒産においても、通常の倒産と同じように企業の経営が立ち行かなくなった状態です。
ただ、いわゆる倒産との違いは、経済的な状況としては黒字であるということです。
帳簿の上では黒字であっても、キャッシュフローでは赤字となることがあるのです。
目次
黒字倒産する理由は資金繰りの問題?
黒字倒産する理由は、主に資金繰りによる問題です。
資金繰りとは、ビジネス上で生じる経費などの支払いと、売上金の回収タイミングのバランスをとって手持ちの自由にできるお金をなくさないようにすることです。
これは、ビジネス上の問題だけでなく、個人のお財布でも同じことが言えます。
資金繰りによる黒字倒産の例
例えば、クレジットカードで買い物をすれば実際にお金が引き落とされるのは、1か月〜2か月後ですよね。
同じように、働いたことで得る給料も振り込まれるまで1か月程度の時間差が出ます。
もし、勤めている企業の経営が上手くいっておらず、「今月の給料の支払いが遅れる」と言われたらどうなるでしょうか?
給料の振込み予定日から数週間後にしっかりと支払いがされたとしても、もしかしたらクレジットカードの引き落とし額が足りなくなる可能性が出てくるのです。
クレジットカードの滞納なら、遅延損害金などがかかることはあっても、生活はできるかもしれません。
しかし、企業であれば支払いができないことで、社会的な信用を失い銀行からの融資が止まったり、社員がいなくなれば営業できなくなったりします。
では、企業が黒字倒産する場合に、具体的にはどのような理由があるのでしょうか?
企業の黒字倒産は税金や売掛け金・買い掛け金に注意
資金繰りを悪化させないためには、資金繰り表をつけるのが良いでしょう。
ただ、収支などの管理に慣れていなかったり、思いがけないことに出くわしたりすることもあります。
まずは、基本的な資金繰りの知識をつけておく必要があります。
税金の支払いタイミングに注意
ビジネスをしていると、法人であっても、個人であっても様々な税金がかかります。
例えば、所得税、法人税、消費税、固定資産税などです。
会社員であれば、所得税は毎月の給料から天引きされているため、納税時期に想像以上の出費があるということはあまりないかもしれません。
企業であれば、内部留保などもあるでしょうし、税金なども含めて資金繰りをするのが当然です。
ただ、個人事業主として仕事を始めたばかりですと、税金が思わぬ落とし穴となることもあるのです。
売掛け金・買い掛け金のタイミングに注意
企業の場合には、商品と代金を同時に交換しない掛取引を行うケースも多くあります。
どの程度の支払いサイトになるかは業界などによっても異なります。
資金繰り表を使って、手元の現金がどの程度あるのかを予測することが重要となります。
黒字倒産を防ぐための方法
まず黒字倒産を防ぐために最低限したいのは、資金繰り表をつけることです。
資金繰り表とは、買い掛け金や売掛け金の予定、過去の売り上げや税金などの支払いスケジュールなどを元に資金状況の予測を表にまとめたものです。
どうしても資金繰りが上手くいかない場合には、次のような方法があります。
- 借り入れを行う
- 売掛け金を回収する
- 買い掛け金の支払いを待ってもらう
安易に借り入れを増やすのは経営リスクの増大につながりますが、従業員や取引先、金融機関からの信用を重視したほうが良い場合もあります。
また、本来の支払日よりも早く売掛け金を回収することや、買い掛け金の支払日を遅らせてもらうことで、資金繰りをする方法もあります。
少額であれば、経費の削減などで資金繰りをすることも可能ですが、短期間で大きな額を準備できないことも多いため、その他の方法の検討も必要となります。