ジョブローテーションの意味は何?メリット、デメリットを比較

ジョブローテーション(job rotation)とは何?

ジョブローテーションとは、多くの業務を経験させる事を目的にある一定の期間で別の部署へ移動させる人事戦略の事を言います。

日本のように長期雇用が前提の企業との相性がよく、企業の全体像を把握すべきである幹部候補や適正を見極める必要がある新入社員などを対象にOJTの一環として行われるケースが多くあります。

ジョブローテーションと一口に言っても、次の2つのパターンがあります。

  1. 一定期間で他の部署(部門)へ移動するケース
  2. 同じ部署(部門)内で他の業務を担当するケース

企業の大きさによっても部署(部門)分けは異なるのですが、営業から経営企画などのように部署が変わる場合と、同じ部署内で異なる業務の担当へと変わる場合の2つです。

ジョブローテーションの導入事例

私の働いている会社でもジョブローテーションが導入されています。

しかし、説明したジョブローテーションと少し異なるのが、制度の対象がインターン学生である点です。

私が勤めているのがWEB系の会社では、WEBサイトの企画、運営、WEBマーケティング、コンサルタント、デザイン、広告運用などの様々な業務を行っています。

大学生のインターン生の場合には、「マーケティングがしたい」、「デザインに興味がある」という希望があっても、仕事の実情を掴みきれていない場合がほとんどです。

そのため、希望とは別に様々な業務に関係してもらう事で、「したい」業務と「してもらう」業務のギャップを埋める事ができます。

ジョブローテーションの期間が終了した後に、希望通りの業務を担当するケースもありますし、他に興味のある業務を見つけて別の業務を希望する場合もあります。

ジョブローテーションのメリットとデメリット

ジョブローテーションの概要を説明してきましたが、どのような事にもメリットとデメリットがあります。

まずは、ジョブローテーションの良い面、メリットについて見ていきましょう。

ジョブローテーションの3つのメリット

適正を判断しやすく、適材適所が可能

どのような人材でも向いている仕事と向いていない仕事があります。

たいていの場合は、仕事の中で時間をかけてようやく見つけていくものではありますが、早い段階で様々な業務を経験することで適正の見極めをしやすくなります

それは、本人がやりたいと思えるような業務である場合と、人事や経営陣が向いていると判断した業務であることもあります。

個人としても注力できる仕事に出会える可能性が高くなる、企業としても適材適所の人事が実現できるというメリットがあるのです。

仕事の全体像が把握しやすくなる

様々な業務を経験することで、現在のポジションからでは見えにくい業務の全体像を見る事ができます。

管理職などの昇進を目指す場合には、現在の部署や業務だけではなく、企業の全体像と今の業務の関係性をしっかりと把握しておく必要があります。

また、昇進を全体としていなくても、自分の仕事が企業の活動の中でどのような役割を担っているのかを理解することは非常に重要なことです。

他部署との連携がしやすくなる

他の部署や業務に携わることで、社内の風通しを良くして部署間の連携を強めることができます。

他の部署が何をしているのかを理解していないと、どうしても自分の考えだけで業務を進めがちです。

自分の仕事がどのように他部署で役立つのかを理解することは、円滑に業務を進め企業への貢献度を高めることにもつながります。

ジョブローテーションの3つのデメリット

短期間での適正の見極めは難しい

ジョブローテーションがどのくらいの期間が設定されているかは企業や部署によっても異なります。

一般的には、半年前後から1年程度のスパンでローテーションするケースが多いのですが、1年程度の期間で適正を見極めることは簡単ではありません。

新入社員の転職が「最低でも3年働いてから」とよく言われるのは、1年や2年では十分に仕事を理解して力を発揮することが難しいからでもあります。

つまらない、できないと思っていた仕事でもやりがいやブレークスルーポイントを見つけることもありますし、華やかでやりがいのあると思っていた仕事が意外にも地味できついということは良くあります。

目の前の仕事にしか目がいかなくなる

現在の仕事を続けていくとなると、どのようになるために、何を学ばなければいけないのかの計画が立てやすいです。

しかし、一定期間で他の部署へ移動するとなると自分のキャリア像を明確に描くのが困難になります。

目の前の仕事に集中することは大切ですが、ジョブローテーションの期間中はできるだけ多くの仕事に触れ、吸収するように心がけましょう。

他の部署に移動するかといって、勉強することをおろそかにするとジョブローテーションのそのものの意義がなくなってしまいます。

専門的で高度な知識や技術の習得ができない

もし、習得するのに時間がかかる高度なスキルを身につけようと思うとジョブローテーションの期間中では難しいと言わざるをえません。

制度としても様々な業務に携わることが目的なので、基本的な業務を理解することに終始しがちです。

ゼネラリストを育てるのには良い仕組みである一方で、スペシャリストは育ちにくいとも言われています。

すでに明確なキャリアプランを持っており、ある分野でのスペシャリストを目指す場合にはジョブローテーション中はもどかしさを感じるかもしれません。

ジョブローテーションのメリットとデメリットのまとめ

ジョブローテーションは、個人としては様々な業務に携わることで企業の全体像を把握して他部署との連携を強めることができるとともに、経営陣としても人材の適材適所を検討しやすくなるというメリットがあります。

しかし、一定期間でのローテーションはスペシャリストの育成には不向きであり、部署ごとでの研修にも時間を要するためコストもかかります

企業としてはジョブローテーションの期間などの制度設計、対象者への意義の説明などをしっかりと行わないと、思うような効果が出ずに弊害が多くなる危険性もあります。

個人としては、ただ様々な仕事を経験するという受け身ではなく、最終的なキャリアプランを持ち、都度見直しながらジョブローテーション中に様々なことを吸収していく必要があります。

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