懲戒解雇と懲戒免職の違い|退職金や再就職への影響はある?

報道番組などで不祥事によって懲戒免職、懲戒解雇されたというニュースを聞くことがありますよね。

この懲戒免職と懲戒解雇は言葉は似ていますが、明確な意味の違いがあるのです。

この記事では、懲戒免職と懲戒解雇はどのように違うのか、懲戒解雇(免職)と通常の解雇との違い、退職金や再就職への影響などについて説明していきます。

懲戒解雇と懲戒免職の違いとは?

懲戒解雇と懲戒免職は、使用される職場がどこかによって使い分けをします。

企業勤めの場合には、懲戒解雇という言葉が使われます。
一方で、懲戒免職は公務員に対して使用されます。

懲戒というのは、「懲(こ)らしめる」、「戒(いまし)める」という言葉の通り、対象者が重大な不正などを行った場合にその行為を懲らしめる、戒める目的で行う処分のことを言います。

懲戒処分には、停職、減給、厳重注意などがあり、その中でも最も重いものが懲戒解雇(免職)となります。
ただし、実際にどのような処分があるかは所属する組織によっても異なります。

ちなみに、お寺の住職の場合には、懲戒解雇にあたる懲戒処分を「剥職」と言うそうです。

懲戒解雇(免職)は通常の解雇と扱いが違う?

日本では、労働者は法律によってその立場が守られています。
雇用者と被雇用者では、雇われている側が立場が弱いように感じますが、雇用者の独断で簡単に解雇などができないようになっています。

そのため、会社側の都合で解雇を行う場合には、解雇日の30日前までに解雇の通知、もしくは日数に応じた賃金を支払わなければいけません。

解雇には、次の3つの種類があります。

解雇の3つの種類

解雇の理由は様々ですが、大きく解雇の種類を分けると次の3つになります。

  • 懲戒解雇
  • 整理解雇
  • 普通解雇

整理解雇はいわゆるリストラによる解雇です。
普通解雇とは、懲戒解雇でも整理解雇でもない解雇のことを言います。

普通解雇と整理解雇は、解雇の事前通知などをしなければいけませんが、懲戒解雇にはそれらは必要ありません。

ただし、労働基準監督署の署長の解雇予告除外認定を受ける必要があるので、懲戒解雇の場合でも企業の完全な独断では行うことはできません。

懲戒解雇と諭旨解雇の違いは?

懲戒解雇に相当するような行為があった場合でも、企業側の配慮によっては諭旨解雇となる場合があります。
公務員の場合には、諭旨免職といい、解雇者に責任がある場合でも企業が一方的な解雇を言い渡すのではなく、両者の話し合いによる解雇という扱いとなります。

そのため、実際には解雇者本人に責任があっても、会社都合での離職と言えます。

懲戒解雇(免職)の場合には退職金や再就職に影響はある?

懲戒解雇(免職)された場合には、その他の解雇と退職金や再就職への影響が異なる場合があります。

一般的には、懲戒解雇の場合には退職金などはでないと思っている方が多いようですが、実際には企業によって異なるためケースバイケースです。

もし、懲戒解雇の場合には退職金を一切支給しないという場合には、就業規則などに明記されている必要があります。

懲戒解雇(免職)の再就職への影響

懲戒解雇(免職)となれば、履歴書には「自己都合」での退職と記入が必要です。
事項都合=懲戒免職ではないため、履歴書に「事項都合」による離職と書かれていてもすぐにマイナスの評価になるわけではありません。

ただし、前職の場合には退職した経緯などを聞かれる可能性はあります。

履歴書や面接での嘘は経歴の詐称にあたり、それ自体が懲戒解雇や採用の取り消しの正当な理由となります。

履歴書の段階では、事細かに退職の経緯を記入する必要はありませんが、嘘や誤解を与えるような表現を使わないように注意を払いましょう。

懲戒解雇と懲戒免職の違いのまとめ

懲戒解雇と懲戒免職は、対象者がサラリーマンか公務員かによって使い分けをします。

企業に勤めるサラリーマンの場合には、懲戒解雇と言い、公務員の場合には懲戒免職と言います。

どちらも懲戒処分の中でもっとも重いものであり、普通解雇や整理解雇の場合には必要である事前の解雇通知などが入りません。

ただし、懲戒解雇を行うには労働基準監督署の署長の解雇予告除外認定が必要なので、企業側が解雇しようと思っても独断ですぐに行えるわけではありません。

退職金などは就業規則にどのような記載があるか、どのような経緯で懲戒解雇に至ったか、どのような行為をしたかにもよるためケースバイケースですが、懲戒解雇の場合には退職金が支払われない場合もあります。

懲戒解雇は、転職、再就職では企業側が知れば選考には不利になるでしょう。
履歴書では、懲戒解雇と書く必要はありませんし、企業側が前の職場に離職理由を尋ねるといったケースもほとんどありません。

しかし、履歴書や面接で離職理由を偽るのは経歴詐称にあたるため、履歴書の書き方や、面接での受け答え方には注意が必要です。

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