会社で働いていたり、公務員として働いていたりすると自分で税金を計算して納税するという機会はあまりありません。
しかし、個人事業主になると会社で働いている、働いていないに関わらずに自身で納税しなければいけません。
知らなかったではすまず、申告、納税がないと脱税が疑われる、追徴課税を納めなければいけないなどの事態になります。
この記事では、個人事業主が納めなければいけない税金の種類、節税するためのポイント、納税にミスがあったらどうなるのかについて説明していきます。
個人事業主が納めなければいけない税金とは?
企業で働くサラリーマンの場合には、様々な税金の計算、納税を会社側がしてくれます。
会社は毎月の給料から天引きという形で納めるであろう税金額を差し引いているのです。
しかし、正確な納税額は1年間の所得で計算されるため、年末調整で多く徴収していた場合には返還し、少なかった場合にはさらに徴収することになります。
個人事業主やフリーランスとして働き、所得がある場合には、所得税以外にも多くの税金を納める必要があるのです。
目次
個人事業主、フリーランスが納める4つの税金とは?
個人事業主としてのビジネスで得た所得は、事業所得という所得に分類されます。
サラリーマンの給与所得と同じように、この所得の額に応じて所得税がかかります。
個人事業主の納める税金は、主に次の4つです。
- 所得税
- 消費税
- 住民税
- 事業税
所得税は、自分で計算、納税しなければいけませんが、個人事業主が納める税金は自分で納税するものと、納税の案内が送られてくるものがあります。
まずは、自分で手続きを進めなければいけない所得税と消費税の2つについて説明していきます。
所得税の税率と納税方法
所得税は、1年間の事業で得た利益に対してかかる税金です。
その点は、給与所得と同様で、1月1日から12月31日までの期間での計算となります。
毎年2月半ばから3月半ばの1か月の間に、自分で税務署にて確定申告を行い納付をしなければいけません。
納税の期日が土日や祝日と重なる場合には、期日がずれるので毎年確認するのが良いでしょう。
【事業所得税の税率】
課税される所得金額 | 税率 | 控除される額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円 〜 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円 〜 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円 〜 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円 〜 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円 〜 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円 〜 | 45% | 4,796,000円 |
消費税の税率と納税方法
消費税は払うだけでなく、個人事業をしていると徴収、納税をしなければいけません。
所得税と同じように2月の半ば以降に申告と納税を自分で行う必要があります。
普段買い物をしていると消費税はお店に払っているように思われますが、実は一時的にお店に預けているという方が近いのです。
お店は、預かった消費税をまとめて申告、納税するということになります。
消費税の計算は、所得税よりも少し面倒になります。
その理由は、消費税というのは徴収もする一方で、仕入れなどをする場合には払ってもいるからです。
事業で得た消費税から仕入れに支払った消費税を引いた額で計算する方法を原則課税方式と言います。
また、みなし仕入れ率を使用した簡易課税方式という計算方法もあります。
ただ、消費税の免税制度があるため、個人事業主の全員が消費税を納めなければいけないわけではありません。
個人事業主が消費税を免税される場合
消費税というのは個人事業主でも徴収しなければいけませんが、必ずしも納めなければいけないわけではありません。
免税となる条件の1つは、売り上げが1,000万円以下ということです。
ここでの売り上げとは、税金のかかる課税売上なので確定申告などのデータを元に確認することができます。
ただし、売上は前々年の額を元にします。
そのため、基本的には免税となる条件は次の2つと言えます。
- 個人事業を始めてから2年以内の場合
- 前々年の売上が1,000万円以下の場合
個人事業を始めてから2年以内であれば、そもそも前々年の売上がないため消費税を納める必要はありません。
また、2年目以降も課税対象となる売上が1,000万円以下であれば、納税が不要です。
住民税は自体からの通知がくる
住民税と事業税は確定申告の内容をもとに、納税の通知がくるため自分で計算をする必要がありません。
ただし通知内容に従って、自分で納めに行かなければいけません。
サラリーマンなら、毎月の給与から住民税が天引きされる特別徴収という納税方法となります。
個人事業主は、代わりに収めてくれる人がいないため自分自身で支払いをする普通徴収をしなければいけません。
毎年6月頃に納税通知書が送られてくるため、6月、8月、10月、翌年の1月の計4回の期日までにコンビニなどで支払いをしましょう。
事業内容によっては事業税(個人事業税)の納税が必要
事業税は、事業内容によって一定の税率が決められています。
確定申告の内容をもとに計算され、住民税と同じように納税通知書が送られてくるため、期日までに支払いを行いましょう。
事業によって税率は異なりますが、だいたい3%〜5%の税率となります。
納税先は、各自治体となるので自分の事業内容が対象となるかは自治体に確認するのが良いでしょう。
個人事業主、フリーランスの節税のポイント
個人事業が節税するためには、税金、確定申告について知識を持つことが重要です。
節税とは、得をするのではなく、損をしないということなのです。
個人事業の節税の大きなポイントは、経費をしっかりと計算、申告できているかどうかです。
様々な税金は、売上にかかるのではなく、課税売上にかかります。
そのため、どのような経費がかかったかを正確に把握することが節税への第一歩といえるでしょう。
また、どのような控除があるかを把握しておくことも必要です。
所得控除を知れば節税できる?
課税売上は、売上から経費を引き、さらに控除などを引くことで計算できます。
全員に関係があるのが、基礎控除であり38万円が所得から控除されます。
その他にも、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。
個人の状態によってどの控除が適用されるかは異なるので、それぞれの内容を把握しておくのが良いでしょう。
事業が赤字の場合には税金は支払わなくて良い?
もし、事業での所得が赤字の場合には税金は発生するのでしょうか?
まず、一般的には赤字は、収入よりも支出が多いことを言います。
個人事業での売上よりも経費などが多く利益がない場合には、課税売上がないため所得税などはかかりません。
また、利益が出ていても、様々な控除によって課税売上が0円を下回る場合には、課税売上は0円ということになります。
ただ、青色申告をする場合には、赤字を翌年に持ち越すことができるため、赤字の場合でも確定申告をしたほうが良いケースがあります。
個人事業主で税金の申告漏れがあった場合にはどうなる?
個人事業主で、自分で税金を計算、申告しなければいけないのは基本的には「所得税」と「消費税」です。
これらに申告ミス、申告漏れがあった場合には、本来よりも大きな税額を支払わなければいけなくなります。
売上額にもよりますが、税理士などに税金に関わる業務を一任するなどを検討したほうが良い場合もあります。
最低限の税金の知識はあったほうが良いですし、自分で納税の手続きをしたほうが費用は抑えることはできます。
事業の拡大や業績に応じて、検討すると良いでしょう。